工夫凝らし業界の課題に対応 吉岡株式会社 代表取締役 吉岡源一郎氏

―2023年の振り返りを。

 8月の決算では、おかげさまで増収増益となりました。コロナ禍の行動制限が終わり、業界としては明るさが戻った印象です。しかし、円安や原価高騰は継続し、所得が上がっているわけではないため、今年からは昨年の流れが落ち着くのではと感じています。

 ―特に注力してきたことは。

 当社の社訓である「一人代表」は、社員一人一人が会社の代表という気概と責任を持つことを意味しますが、見方を変えれば、私たちは地域、そして日本の代表でもあります。その意味でも、地球に悪影響を及ぼすことは是正すべきと考え、CO2排出量が少ない生分解性プラスチック製ビニール袋の開発や社内の節電対策など、環境に配慮した取り組みを進めてきました。繊維は原料生産から廃棄までのサイクルに、まだまだ工夫の余地があると感じており、今後も天然繊維の活用やリサイクルなどを検討していきたいです。

 ―岐阜ブランド向上の取り組みは。

 カワボウ繊維、柏屋商事とともに参画している「岐阜シャツプロジェクト」では、ウールに地元素材である美濃和紙を組み合わせた糸とホールガーメント(無縫製)編機を用いて、FC岐阜を応援する「岐阜ニットタイ」を開発しました。糸を編み上げるホールガーメント編機は、布と違って生地の無駄を発生させないことから、CO2削減に寄与する環境配慮型商品という点にも、こだわりました。

 ―今年の抱負を。

 原価高騰や円安不安など厳しいビジネス環境下で、衣料も今年夏頃から価格引き上げが予測されています。しかし、例えば物流トラックの積載率を上げるため、収まりのいい商品や段ボールの形状を考えるなど、利益を減らさず価格上昇を防ぐ工夫はまだできるはずと考えています。困難な時こそ携わる企業と連携し、チームで前向きな対応に努めていきたいと思います。